アズールレーン THE ANIMATION

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2019.11.21

シリーズ構成:鋼屋ジン インタビュー第1弾を公開!

アニメ放送開始前に公式Twitterで公開した、シリーズ構成:鋼屋ジンさんへのインタビューを公開!
第2弾の振り返りインタビューとあわせてぜひご覧ください。

――まずは鋼屋さんがシリーズ構成・脚本を担当されることになった経緯をうかがわせてください。
鋼屋 『アズールレーン』が日本で人気が出たあと、知り合いを介してYostarさん(※『アズールレーン』日本語版の配信会社)とご縁ができたんです。それからたびたびお会いして意見交換のようなことをしていたところ、アニメ化の企画が動くことになり、流れでシリーズ構成としてお声がけをいただいた……という形ですね。

――最初、原作ゲームのどんなところに魅力を感じられましたか?
鋼屋 そこははっきりしています。ゲームの国内配信が始まる前に、初報として出た赤城と加賀のメインビジュアルを見て、その姿がとてもカッコよく感じた。それが私とこの作品の出会いです。

――TVアニメとしての『アズールレーン』のストーリーを描くにあたって、どのような方針を立てられたのでしょう?
鋼屋 まず手始めに、キャラクターたちがキャッキャウフフする様子を楽しむコミカルな内容にするのか、比較的真面目なカッコいい内容にするのかを、他のスタッフのみなさんと話し合いました。結果的には、後者のテイストに決まって、そこからあらためてどんなストーリーにするかを考えて行きました。

――具体的にはどういう思考プロセスを?
鋼屋 主人公の選択肢はふたつありました。ゲームで人気のあるキャラクターにすることは前提で、一つはいわゆる初期艦(※ゲーム開始直後に手に入るキャラクター)たち、その中でも特に人気のある綾波を主人公にする選択肢。 もうひとつは、ビジュアルでもよくメインに据えられていて、ゲーム内の立ち位置でもSSR キャラとして最強の一角を占めているエンタープライズを主人公にする選択肢。 そのふたつの方針をめぐって、スタッフ間で話し合った結果、今回はエンタープライズを中心にした物語を展開することにしました。



――エンタープライズを中心に据えることに決まったことで、物語はどのようなものに?
鋼屋 そういう物語を考えることになった時点で、アズールレーンとレッドアクシズと、ふたつの陣営の戦いをきちんと描くのは当然だと思ったんです。まずそこは、逃げずにしっかりやろうと決めていました。そして、そうした状況でエンタープライズの、最強の空母らしい姿、ヒーローとしての立ち回りを見せる。戦いの中心にいることでエンタープライズが何を見つけて行くのかを、作品のテーマにしています。 ただ、エンタープライズって強すぎて、動くと「最後の切り札を抜く」みたいにどうしてもせざるを得ないので、ドラマを転がすための相棒としてベルファストを設定しています。このふたりを中心に描く一方、初期案にあった初期艦たちの物語もサブのストーリーラインとして残しています。



――ファンの皆さんは自分の好きなキャラクターどれくらい活躍するのか、そもそも登場するのかを気にされているかと思うのですが。
鋼屋 ゲスト的に顔を出すのも含めれば、かなりの数が出ますよ。できるだけ多くのキャラを出したいという方針もあって、話が壊れない、無理のない形でシナリオの方でも対応しています。すべてのキャラクターを出すのは、さすがに無理ですが(笑)。

――ストーリー面で特にこだわられたポイントがあれば。
鋼屋 アズールレーンとレッドアクシズの戦いを描くけれども、レッドアクシズがただ敵役で、それを倒すという話にはしたくなかったんです。レッドアクシズにはレッドアクシズなりの考えていることがあり、生活があって、仲間や大切なものがある。一方的な勧善懲悪ではない物語にすることは、徹底しました。



――戦いを描く作品としては王道のドラマですね。
鋼屋 まさにそこです。

――原作サイドのみなさんや、天衝監督を始めほかのスタッフさんのこだわりが発揮されているところは?
鋼屋 そうだなあ……推しキャラですかね(笑)。

――(笑)。

鋼屋 もう少し真面目に答えると、原作ゲームにあるキャラの細かい設定とかもドラマに反映されていて、この作品のそういう部分が好きな方も期待していただけたら。天衝監督はカッコいい絵とか、映像全体のクオリティーへのこだわりもすごい。頭の中に見せたいビジュアルがちゃんとある監督なんですよ。そして運営のYostarさんは、キャラクターの根本的な部分にある裏設定で、こちらのフォローをしてくださっている。「設定通りにやってください」みたいな押しつけではなく、原作ゲームから見えてくる要素を膨らませようと考えていったとき、適切に補完してくださるイメージです。そうしたみんなのこだわりが反映された作品に仕上がったと思います。アニメならではのオリジナル要素は多いんですけれども、原作をおきざりにして勝手にやっているのとは違う感じですね。

――さきほど鋼屋さんはエンタープライズを「ヒーロー」とおっしゃいました。彼女を主役にした、「ヒーローもの」という側面も、この作品にはあるのでしょうか?
鋼屋 ありますね。

――これまで関わられてきた作品を見ても、「ヒーローもの」というのはやっぱり鋼屋さんの中ではひとつ、クリエイターとして追求されている大きいテーマなのでしょうか。
鋼屋 そうです……というか、そうなっちゃいましたね(苦笑)。最初に書いた「斬魔大聖デモンベイン」がヒーローの話だった影響もあって、ヒーローの話を多く書くようになった結果、自分なりに「ヒーローって何だろう?」という問いかけをずっとやることになった。「仮面ライダー鎧武」を手伝ったとき、その影響が顕著に出たんです。自分の中の「ヒーロー」像を出さないと書けない話でもあったもので。 そうした積み重ねが、今作のエンタープライズの描き方にも反映されたところは、自分ではあるように感じています。



――鋼屋さんの手がける「ヒーローもの」としての楽しみ方もできそうですね。では最後に、放送をお待ちの皆さんにひとこと、メッセージを。
鋼屋 当たり前のことになってしまいますけど、見てくださった方に楽しんでいただけるものを第一に目指してシナリオを書きました。新規の方には原作をプレイしてもらえる、原作ファンの方には「知らないストーリーが描かれているけど、アニメでもちゃんと、自分の知っている『アズールレーン』だ」と感じてもらえるものになっていたらうれしいですね。自分はそれをやるのが、シリーズ構成なり脚本家の仕事だと考えていますから。よろしくお願いします。

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